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FlyCart30(FC30)徹底解説:
大型ドローン運搬機の導入ポイント

1. はじめに:FlyCart30は建設・林業現場での実用的な選択肢

FlyCart30(FC30)は、DJI社製の30kg級大型ドローン。建設・林業など現場運搬の実務で選ばれる理由と導入のポイントを徹底解説します。

大型ドローン市場が拡大する中で、現場のニーズにマッチした機体を選ぶことが重要になっています。その中でも、DJI社製のFlyCart30は「積載量」「操作性」「耐候性」「サポート体制」など、実用性に優れた機体として評価されています。

新規事業者や初めて大型ドローンを導入する建設会社や森林組合など、ドローン専業でない企業にとって、現実的に選べる数少ない選択肢としてFlyCart30をおすすめしています。本記事では、FlyCart30の特徴や導入時の注意点について、現場目線で解説します。

2. FlyCart30のスペックと特長

FlyCart30は、単なる「重い荷物を運べるドローン」ではありません。本記事では、FlyCart30の”物流機”としての特性ではなく、あくまで”運搬機”としての利用に注目しています。実際の作業現場で必要とされる性能をバランスよく備えています。

主なスペックと性能

  • 最大積載量:30kg(実用は20kg程度が安定)。なお、シングルバッテリーモードでは最大40kgの積載が可能です。
  • バッテリー交換:ホットスワップ対応
  • 飛行環境対応:耐風12m/s、防塵防滴(IP55)、動作温度 -20〜45℃
  • 位置精度:RTK GNSSによる±10cmレベルの高精度ホバリング
  • 航行機能:自動航行/RTH(自動帰還)/ウェイポイント飛行/バックトラックRTH

また、この機体はその外観からもわかるように「前進飛行」で最大パフォーマンスを発揮します。移動は基本的に前進で行われるため、荷物を受け取る側は機体と“対面”での受け渡しが求められます。この課題に対しては、ウェイポイントによる自動航行の活用や、離着陸地点への帰還にRTH(Return To Home)を使うことで安全性・効率性を高めることができます。特にバックトラックRTH機能では、過去の飛行経路を忠実にトレースして帰還するため、障害物との接触リスクを大幅に低減できます。

3. 従来の大型機との違い:なぜFlyCart30が選ばれるのか

FlyCart30以前の国産機や一部の大型海外機では、操作性やバッテリー交換の煩雑さ、離発着場所の制限などが実用上の課題として存在していました。

FlyCart30はこれらを一気に解消し、

  • 民生機に近い、直感的な操作感
  • 電源を落とさずにバッテリー交換できるホットスワップ
  • 導入企業が多く、情報共有がしやすい
  • メンテナンス体制が整っており、部品供給も安定している といった現実的な運用支援が充実しています。

機体サイズについては、決して軽量・コンパクトというわけではなく、それなりの大きさと存在感があります。したがって、運用には十分な準備と補助者体制が求められます。

4. 吊り荷の制御機能

弊社の主力機であるXYZ55をはじめとする、吊り下げスタイルで荷物を運ぶ大型ドローンの操縦が難しいとされる大きな理由は、慣性に従って揺れる荷を抑えるテクニックの習得にあります。FC30はこの挙動を自動で行ってくれるため、技能証明を取得している程度の操縦技術があれば、十分吊り荷の運搬が可能となります。

吊り荷の揺れをマニュアル制御するイメージ

5. ウインチ機能の実力と価値

FlyCart30が他機と一線を画す大きな特長のひとつが、ウインチをオプションで搭載できることです。

なぜウインチが重要か?

  • 離着陸が困難な場所へのピンポイント荷下ろし(例:斜面の途中、木々の間、仮設足場の上)

従来の吊り下げ式ドローンでは、荷を設置するためにロープの長さ分だけ機体の高度を下げる必要があり、少なくともおよそ10m四方の広い空間が必要でした。FlyCart30ではウインチを使用することで、狭い場所でも上空からピンポイントに荷下ろしが可能です。

また、ウインチ使用時は荷物と機体が離れるため、操縦者が機体と荷物の両方を常に目視内に収めることが困難になります。このような場面では、FlyCart30の優れたホバリング性能が活きてきます。機体が空中で安定して静止することで、操縦者は荷の動きに集中できるのです(※ただし、目視外飛行を推奨するものではありません)。

さらにFlyCart30は、以下のような高度な安全機能も備えています:

  • インテリジェント障害物検知センサー
  • GNSSとビジョンセンサーの連携による安定飛行
  • モーター・IMU・通信系の冗長設計

これらの要素が組み合わさることで、狭所や高所といったシビアな環境下でも、より安全で確実な運搬作業が可能となっています。

 

6. 実運用における積載量とバッテリー効率の最適バランス

スペック上の最大積載量は30kgですが、実運用では20kg前後での運用がもっとも効率的です。

理由は以下の通りです:

  • バッテリーの持ち時間が長くなる(=ピストン回数が増やせる)
  • 揺れ制御がより安定する
  • 操縦時の安全マージンが確保できる

そのため弊社では、現場の内容に応じて10〜20kg程度に荷を分割し、定時・定量のピストン輸送を行う運用を基本としています。

7. 導入をご検討の方へ:弊社の支援体制

FlyCart30の導入には、単に機体を購入するだけでなく、実運用に即した教育・支援体制が不可欠です。

弊社では、以下の内容をワンストップで提供しています:導入支援サービス

  • 機体・バッテリー・プロポほか各種アクセサリーの販売
  • 初心者向けから現場対応型までのオペレーター教育
  • ウインチ操作や荷下ろし技術の運用トレーニング
  • 飛行許可取得サポート保守・点検対応

導入の初期コスト(参考:機体+プロポ2台、バッテリー6本、ウインチシステム、初期講習および操縦ライセンスの付与を含めて、約600万円程度)も含め、必要に応じて段階的な運用計画も設計いたします。ご相談はこちら

8. まとめ:FlyCart30は“今、選ぶならコレ”な現場向けドローン

DJI公式 FlyCart30ページはこちら

FlyCart30は、大型ドローン運搬の現場において、ドローン専業会社ではない一般事業者が現実的に選べる数少ない機体です。

操作性、安全性、運用性、情報の豊富さ、サポート体制など、導入のしやすさという観点で抜群の信頼性があります。

導入に関心のある方は、ぜひ弊社までお問い合わせください。経験豊富な技術スタッフが、現場導入まで丁寧にサポートいたします。

 


よくある質問(FAQ)

Q1. FlyCart30の最大積載量は?

A. デュアルバッテリーモードでは30kg、シングルバッテリーモードでは最大40kgの積載が可能です。ただし、実運用では20kg前後が安定しています。

Q2. 一人で運用できますか?

A. 操縦は1名でも可能ですが、安全確保や補助作業を考慮すると、最低2名体制での運用が推奨されます。実際には、離着陸の操縦を担当するAプロポ担当と、荷下ろし時の操縦を行うBプロポ担当を分けて配置するのが一般的です。さらに、記録やバッテリー交換などを補助する人員を加えた3名体制が理想的です。

Q3. バッテリーの持ちはどれくらいですか?

A. 積載量や気象条件により異なりますが、20kg積載時で10〜15分の飛行が目安です。

Q4. ドローン運搬の導入にはどれくらいの準備が必要ですか?

A. 弊社では、機体販売から講習、ライセンス取得、運用計画まで一貫サポートを提供しています。初めての導入でも安心してご相談いただけます。

PROFILE

株式会社ロジクトロン
代表取締役 野間智行

2001年 デザイン制作会社にグラフィックデザイナーとして入社
2007年 支社立ち上げの為、上海市に赴任(上海オフィス代表)
2009年 帰国後Web制作会社ディレクターを経て2016年に個人事業開業
2018年 個人事業を法人化し株式会社ロジクトロンを設立
2020年 ドローン事業開始
2023年 一等無人航空機操縦士技能証明を取得